名　護　珈　琲

１６年前に拝見したコーヒーの大木は消えてなくなっていた。
その子孫があたり一面に実生して大小の木々が育っている。下には苗が数え切れないほど群生している。

少し大きいコーヒーの木には赤いチェリーが枝先に鈴成りに付いている。「苗が欲しければもって行っていいよ」といわれた。
そのつもりで来たわけでもないので辞退した。

｢下に回って見ますか？｣と聞かれ「はい」と言って屋敷に出て丘を見上げると辺りがコーヒーの林になって広範囲に及んでいた。しかも根元はしっかり太くて少々の風が吹いても倒れそうもない安定感がある。
「誰も手入れしないからこんなになった」と丘を見上げて林立した森を見上げて「コーヒーの木は強いね」とつぶやかれた。

誰が見てもコーヒーの木は沖縄に育つ条件に合っている証明である。